ラップバトルの勝敗ってどうやって決まるの?

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1.初めに

 こんにちは~、ひよぺんです。いきなりですが、みなさんラップバトルって知ってますかー?

ラッパー達が音楽の上でYOYO言いながら、お互いを罵り合う・・・そういうイメージを持っている人が大半だと思います。

何よりこれ勝敗ってどうやって決めてるの!?っていう疑問がまずあると思うんですよね。

自分はたまにニコニコ生放送でラップバトルの動画や生放送をミラーしているんですが、やっぱりこういう系統の質問が一番多いです。

ということで今日は、ラップってそもそも聞いたことないよ~っていう人達にもなるべく分かりやすいように、勝敗の決め方の観点からラップバトルとはなんぞやという話をしていきたいな~と思います。

 

2.基本的なルールとして

  ラップバトルをするに当たって、必要な人は主に4種類います。それは司会、DJ、ラッパー×2、審査員です。

司会の人がバトル開始の合図を出し、DJがビートを流し、ラッパーがそのビートに合わせて交互にラップをし、司会が終わりの合図と同時に審査員に判定を聞き、勝敗が決まるというのが一連の流れです。

ラップをする時間ですが、8小節×2が一般的ですが大会などでトーナメントが進んでいくと8小節×4になったり、16小節×2になったりする場合が多いです。

 

3.勝敗の決め方

 じゃあ審査員ってどうやって勝ち負けを決めているの~という話なんですが、基本的にはどっちがかっこいいか、おもしろいか、ラップがうまいか、即興性が高いかで勝負が決まります。

ちょっと抽象的すぎないか~~~、と思った人も多いと思いますが、はいその通りでわりと抽象的です。サッカーや野球のように、こっちが2点とって相手が1点とったからこっちの勝ちとなるわけではないです。

なので、人によって審査基準がバラバラです。

フリースタイルダンジョンというラップバトルの番組では審査員が5人いるんですが、全員の判定が一致することはそう多くはないです。

また僕もたまに、審査員が観客(大体そう)のラップバトルを見に行くことがあるんですが、隣の人と判定が違うなんてことは日常茶飯事です。

しかし審査員全員がどのポイントで、ラップバトルをみているかという点に関してはある程度共通のものがあります。

今回は""と"フロウ"と"アンサー"という観点から解説していきたいと思います。

 

3-1.韻

 韻を踏むってどういうことか分かります?韻を踏むとは単語と単語の母音を合わせることです。前で合わせば頭韻、後ろで合わせれば脚韻と呼ばれます。ラップバトルで盛り上がるのは脚韻が多いですね~

例えば葛飾(auia)だったら、カス以下(auia)、ナルニア(auia)とかで踏めます。

ここで大事なのは子音は合わせなくていいということと、「っ」「ん」「ー」などの母音を含まない単語は無視してもいいし、しなくてもいいです。

少子化(ouia)とかだと"しか"と"しか"で一見踏めてるように見えますが、最初のaとoが合ってないので1文字踏み外してることになります。

もちろん全文字踏む必要はないですが、やはり長い韻をバチバチに踏んでくると盛り上がります。

 

ここで韻がどんな感じで使われているか、実際の動画で見てみましょう。

www.youtube.com

 

ミステリオ

俺が負けると思ってんだろひっくり(iui)返すからじっくり(iui)見とけ

ひっくり返す(iuiaeu)、俺のマイメンはビーツにライム(iuiaeu)

しっかりやるぜお前がどんな奴かは知ってる

BAZOOKA!!チャンピオンカリスマの少年(aiuaoouen)

こいつぶち殺すアリスターオーフレム(aiuaoueu)

9for

いつまでこれで上がる、リスナーのレベルが下がってきてる

ギャグなんだろ?突き通せギャグラッパー(auaa)

頭勝ち割るぞジャック・ハンマー(auaa)

BAZOUUKA!それはどうでもいい

俺も言われたぜ高ラのチャンプ(ouaoau)

踏み込んで壊そう音楽のジャンル(ouauoau)

ミステリオ

ギャグをつきとおす(uioou)、顔面が不細工、海坊主(uioou)

ガッチリやりたいスキル勝負(uiuoou)、iphone、スティーブジョブス(uiuouu) yeah

iphone4 9for(aiou) スキルないよ(aiou)

ナイフとフォーク 蜂蜜と林檎 Japanese HIPHOP お前ら上がってくBーBOY

9for

相変わらずダサすぎるよな、Wheat catがほら泣いてるぜ

それが分かるかなiphone4s(aiououeu) 俺の後ろには大名行列(aiououeu)

最後に持ってく(oueu) お前の情熱(oueu) こめる小説(oueu) 

お前は確かにぶっとんでる(uoueu) ぼこぼこ 複雑骨折(uoueu)

 

(ここに出てくるBAZOOKAとはテレビ番組の名前で、高ラとは高校生ラップ選手権の略です。9forは昔このBAZOOKAの企画した、高校生ラップ選手権で優勝したことがあるので、ミステリオはこのことを言っています。)

 

下に歌詞を書きました。紫文字の部分は韻を踏んでいる箇所で、()は母音です。

 

なんとこれ、全部即興でやってるんです!

僕はこの相手の言ったことに対して、その場で韻を考えて返すということがすごいな~と感じてラップバトルにはまりました。

またお互いに長めの韻を踏んだ時は声を張り上げるタイプのラッパーなので、どこで踏んでいるのか分かりやすいです。

ラップバトルにおいて、韻を踏むということは分かりやすく、また簡単に自分のスキルをアピールできる手段なので、ほとんどのラッパーは韻をふみます。

 もちろん韻を踏むことと、内容の整合性も大事ですし、長い韻や、あまり聞いたことのない韻を踏むとそれだけポイントは高いです。

 

もう1つ韻の踏みあいが分かりやすい動画を貼っておきます。どこで韻をふんでいるのかな~と探しながら見ると面白いですよ。

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3-2.フロウ

 フロウ(flow)とは、厳密に定義することは難しいのですが簡単に言うと歌い方のことです。

ラップという歌唱法は他の音楽と比べてメロディーの要素がかなり少ないジャンルですが、人によって音の乗り方は全然違います。

まあ言ってても分かりにくいと思うんで、実際に動画を見てみましょう。

 

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あ〜気持ちいいいいいい、時々聞き取れない所があるけど聞いてて気持ちよくないですか?

またビートは同じなのにお互い、歌い方が全く違うのが分かりますよね。これがフロウです。

フロウはラッパーによって個性がかなり出しやすく、またそれだけ多種多様なのでそれをどう評価するかは人によってかなり違ってきます。ちなみにこの試合も判定が真っ二つで延長戦になります。

 

もう1つ僕が好きな聞いていて耳が気持ちのいいバトルを貼っておきます。

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3-3アンサー

 最後にアンサーについてです。アンサーとは察しのいい人ならなんとなく分かるんじゃないかなあと思うんですけど、相手の言ってきたことに対して返すことです。

これがないと、そもそも2人でやる意味がないですしアンサーを返すことによって自分は即興でやってますよ~という証明にもなります。

例えばA君がB君に「ばーかばーか」と言ったとして、B君が「お前の方がばかだろ」と返した時に見ている審査員が確かにA君の方がばかだ・・・と感じたらそれはB君がA君に対してアンサーが返せているなあとなるわけです。

ただし、それだけではちょっと味気ないですよね。

そこでラップバトルでは相手の言ったことに対して、韻を踏んでアンサーするということがよく行われます。

 

例のごとくどこがアンサーを返している部分か動画で見てみましょう。

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高校生ラップ選手権の王者対決ということで、両者ともかなり気持ちが入っています。

1ターン目に先攻のcoreboyがへそは曲げるなと言ったことを受けて、後攻のじょうはレペゼンへそまがり(eoaai)から明るい未来は手の中に(eoaai)と韻を踏みます。ここがアンサーを返している部分ですね。

coreboyも負けじとお前が唯一の目の敵(eoaai)、エゴサーチ(eoaai)、援護射撃(euoaai)と踏み返しますが、またもじょうが猫だまし(eoaai)、エドはるみ(eoaai)と踏み返します。

このまま最後までじょうのペースで試合が進み、coreboyが言ったMellow Akira(eouaia)

に対し、じょうが尻舐めろよガキが(aeooaia)と若干踏み外しながらも返した所で勝負あり。判定はじょうの圧勝という結果になりました。

 

ここで勘違いして欲しくないのが、韻を踏んで返すのが絶対というわけではないです。おもしろいことを言ったり、的確なdisをしたりして審査員を納得させれば、それでいいです。

ただ韻を踏みながらアンサーを返すというのは聞き手が ラップを評価する時にかなり分かりやすいポイントなため、多くののバトルで行われます。

 

 

で、肝心の勝敗の決め方ですが今説明した、韻、フロウ、アンサーの主に3つを総合的に判断して審査員は勝敗を決めていると思います。内容の整合性だとかサンプリングがどうだとかバイブスがどうだとか、細かい話をすればいくらでもありますがおおまかに言うとこの3つだと考えています。

人によって審査結果が違っている理由は審査基準のウエイトを置く所がバラバラなので仕方ないと思いますし、そこもまたラップバトルの醍醐味ですかね。

またラッパーにも、最初から最後までひたすら韻を踏んでるラッパーだとか、韻を全く踏まないし、聞いててもただ喋っているようにしか聞こえないけど、言ってることがめちゃかっけえ・・・みたいなラッパーだとか本当に色んなラッパーがいて、見ていて飽きることがないです。

 

4最後に

 ラップバトルを見たことも聞いたこともないよーっていう人向けに記事を書いたので、知ってる人にとってはそんなもん分かっとんじゃボケとか、ラッパーでもないくせに偉そうに語ってんじゃねえよとか色々あると思いますがご容赦ください。

この記事を読んで、ラップバトルに対する偏見がちょっとでもなくなり、少しでも興味を持ってくれると僕はうれしいですね。

で、具体的にどこでおもしろいラップバトルが見れるんじゃ~って話ですが、毎週火曜日はテレビとabemaでフリースタイルダンジョンがやってますし、yooutubeでこのラッパーいいな~と思ったラッパーの名前で検索するだけでもいくらでも動画が出てきます。

ちょっと慣れて来たら、ライブハウスとかクラブとかでラップバトルのイベントをやっている所なんて腐る程あるんで見に行けばいいんじゃないですかね。

僕も8月に戦極MCBATTLEというバトルラッパーオールスーター感謝祭的なイベントがあるんで見に行く予定ですが、毎回一人で寂しいので誰か一緒に行きましょう(;_;)

ということで、今回はここら辺で。

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